首都直下地震、
品川区では何が起きる?
東京都が公表した被害想定のうち、品川区への影響が最も大きい「都心南部直下地震(M7.3)」のデータを図解します。 数字を知ることは、怖がるためではなく、今日からの備えの優先順位を決めるためのものです。
この記事の3行まとめ
- 想定死者288人のうち55%(160人)が火災によるもの
- 避難者は131,126人(区民の3人に1人)、ガスは6割が供給停止と想定
- 令和8年度、感震ブレーカー補助や住宅の不燃化・耐震化支援など区の防災施策が拡充
品川区の避難者数(想定・最大)
131,126人
夜間人口の31.0% — 区民の3人に1人が避難者になる想定
被害想定の全体像 — 6つの数字
想定の条件は「冬の夕方18時・風速8m/秒」。火を使う時間帯に発生した場合の、最も厳しいシナリオのひとつです。 区内では最大震度7(区内面積の0.6%)、91%の地域で震度6強の揺れが想定されています。
最大震度
7
区内の91%が震度6強
死者
288人
最多の原因は火災
負傷者
4,492人
うち重傷736人
全壊・焼失
9,178棟
区内の建物の14.5%
帰宅困難者
23.3万人
都市圏内からの流入者のみ
エレベーター停止
887台
閉じ込めにつながる恐れ
| 項目 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| 最大震度 | 7 | 区内の91%が震度6強 |
| 死者 | 288人 | 最多の原因は火災 |
| 負傷者 | 4,492人 | うち重傷736人 |
| 全壊・焼失 | 9,178棟 | 区内の建物の14.5% |
| 帰宅困難者 | 23.3万人 | 都市圏内からの流入者のみ |
| エレベーター停止 | 887台 | 閉じ込めにつながる恐れ |
死者の想定原因 — 最大のリスクは「火災」
想定される死者288人のうち160人(約55%)が火災によるもの。 冬の夕方という発生条件では、揺れそのものより「その後の火」が最大の脅威になります。
死者数の原因別内訳(都心南部直下地震・品川区)
単位: 人。青は最多の火災
急傾斜地崩壊・屋外落下物による死者想定は0人。四捨五入のため合計は288人と一致しません。
| 原因 | 死者数 |
|---|---|
| 火災 | 160人 |
| 建物被害(ゆれ・液状化) | 101人 |
| ブロック塀等 | 14人 |
| 屋内の収容物 | 12人 |
ここに注目 — 「通電火災」は家庭で防げる
震災時の火災の一因が、停電復旧時に倒れた電気製品などから出火する「通電火災」。 揺れを感知して電気を自動で止める感震ブレーカーで防ぐことができ、 品川区は令和8年度、設置補助を拡充します(分電盤型: 一般世帯は費用の5/6・上限8万円、 高齢者・障害者等世帯は7/8・上限10万円、コンセント型: 全世帯全額・上限3万円)。 持ち家でも賃貸(コンセント型)でも使える、数少ない「お金で買える地震対策」です。
ライフラインはどれくらい止まる?
品川区は東京都平均より被害率が高い項目が多く、特にガスは6割が供給停止の想定。 「電気・ガス・水道が数日〜数週間使えない」前提で備蓄を考える必要があります。
ライフライン被害率 — 品川区と東京都平均
単位: %(発災直後)
断水率30.2%=およそ3軒に1軒で水が止まる計算。トイレ・飲料水の備えが最優先です。
| 項目 | 品川区 | 東京都平均 |
|---|---|---|
| ガス供給停止 | 60.6% | 24.3% |
| 断水 | 30.2% | 26.4% |
| 停電 | 21.3% | 11.9% |
| 通信の不通 | 11.0% | 4.0% |
| 下水道被害 | 6.4% | 4.0% |
避難者13万人 — でも避難所に入れるのは?
想定避難者131,126人のうち、避難所に入るのは87,418人。4万人以上は避難所の外(在宅避難・車中泊・親戚宅など)で生活する想定です。
避難者の内訳(想定・最大)
自宅が無事なら「在宅避難」が基本。そのためにも水・食料・簡易トイレの家庭備蓄が重要になります。
| 区分 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 避難所での避難 | 87,418人 | 66.7% |
| 避難所の外での避難(在宅など) | 43,709人 | 33.3% |
ここに注目 — 帰宅困難者23万人は「区民ではない人」
品川区の帰宅困難者想定23.3万人は、通勤・通学などで区外から来ている人の数。品川駅・大井町駅・大崎駅などのターミナルを抱える品川区ならではの数字です。 逆に言えば、都心で働く私たち自身も、勤務先の区では「帰宅困難者」になります。 職場に歩きやすい靴とモバイルバッテリー、家族との安否確認ルール(災害用伝言ダイヤル171など)を決めておきましょう。
区の備えはどう変わる? — 令和8年度の防災予算から
- 感震ブレーカーの設置補助を拡充(約3,300万円)
- 火災リスクが高い重点地区では木造・非木造を問わず補助を強化。通電火災を家庭の側から抑えます。
- 高齢者等世帯の木造住宅 不燃化・耐震化を強化(約5,000万円)
- 不燃化建築工事に区独自で最大150万円を上乗せ。耐震補強の設計・工事は補助率が最大10/10(全額)に。離れて暮らす親の家の耐震化にも使えます。
- 避難所の初動対応・衛生環境を改善(約4,100万円)
- 誰でも避難所を開設できる「開設キット」導入、LINEを使った避難者受付、テント付き簡易トイレ580セットへの入れ替え。
- 公園にマンホールトイレ・井戸・非常用電源を整備(3,000万円)
- 「災害時トイレ空白エリア」の解消へ。令和8年度は1カ所整備・4カ所設計から段階的に展開します。
区の予算全体の構造は予算特集で解説しています。
今日からできる、わが家の備え3つ
被害想定から逆算すると、家庭の備えの優先順位はシンプルです。
- ① 火を出さない — 感震ブレーカー
- 死因の55%は火災。区の補助を使えば、分電盤型でも自己負担を抑えて設置できます(賃貸はコンセント型が手軽)。 区の家庭内備蓄・感震ブレーカー支援ページ → ※令和8年度の受付はまだ受付前です。
- ② 在宅避難できる家にする — 水・トイレ・電源
- 断水3割・ガス停止6割の想定。飲料水(1人1日3L×最低3日分)、携帯トイレ(1人1日5回×3日分〜)、モバイルバッテリーが最優先です。
- ③ 家族の「集合ルール」を決める — 帰宅困難への備え
- 発災が平日昼なら家族はバラバラの場所にいます。無理に帰らない前提で、安否確認の手段(171・LINE)と数日分の合流計画を共有しておきましょう。
よくある質問
- 品川区で首都直下地震が起きたら、どのくらいの被害が想定されていますか?
- 都心南部直下地震(M7.3)が冬の夕方18時に発生した場合、品川区では最大震度7、死者288人、負傷者4,492人、全壊・焼失9,178棟、避難者131,126人という被害が想定されています。
- 品川区の想定死者数は何人ですか?
- 288人です。このうち約55%にあたる160人が火災による死者と想定されています。
- 品川区の避難者数はどれくらい想定されていますか?
- 131,126人が避難者になると想定されており、これは夜間人口の約31%、区民の3人に1人にあたります。うち87,418人が避難所での避難、43,709人が在宅避難など避難所の外での避難です。
- 感震ブレーカーの設置補助はいくらですか?
- 令和8年度、分電盤型は一般世帯で費用の5/6・上限8万円、高齢者・障害者等世帯は7/8・上限10万円、コンセント型は全世帯全額・上限3万円の補助が受けられます。
- 品川区のガス・水道の被害想定はどれくらいですか?
- ガスは60.6%が供給停止、断水は30.2%と想定されており、いずれも東京都平均を上回っています。
出典・数値について
- 首都直下地震等による東京の被害想定 報告書(東京都防災会議、2022年5月公表)
- 品川区地域防災計画(令和7年度修正)— 被害想定の品川区分の数値、夜間人口422,488人(令和2年国勢調査)
- 令和8年度品川区当初予算(案)プレス発表資料(品川区、2026年2月17日発表)— 防災施策と予算額
- 被害想定は「都心南部直下地震(M7.3)・冬・夕方18時・風速8m/秒」の条件によるものです。実際の被害は条件により変わります。
- 本記事は公表資料に基づく個人の解説であり、品川区・東京都の公式見解ではありません。